久しぶりに土日共に何もやることがなかったので、たまにはDVDでも見ようかなと、色々と物色して借りてきたのが『その街のこども』。TVドラマは一度見ているが、劇場版を見るのはこれがはじめて。


阪神大震災をテーマにした物語で、TVドラマの放送が確か2010年の1月。劇場版の公開がその一年後の2011年の頭。東日本大震災前のこと。TV版と劇場版ではそれほど構成に大きな変更はない。実際に阪神大震災を体験した主役の男女二人が、震災を振り返りながら夜の神戸の街を歩く物語。何も考えずにボケーッと見ていたのだが、ところどころに出てくる台詞が、不意打ちのように心に入り込んでくる。どういうことかって、要は東日本大震災前に見たときと、今見るのとで、台詞の意味合いが違って聴こえるのだ。割とポジティブな側の佐藤江梨子と、ネガティブな側の森山未来の、そのどちら共が。その二人だけではない。序盤にでてくる子供達の絵であったり、風車に書き記された震災体験であったり、それら諸々や印象的な映像シーンとか、みんなそう。


1995年に起きた90年代を代表する二つの大きな出来事、阪神大震災オウム事件。2010年代に入り、阪神大震災はより大きな東日本大震災に飲み込まれ(15年以上前の震災を振り返っている場合ではなくなってしまった)、オウム事件はまさかの急展開により容疑者が全員逮捕。これにより90年代はようやく完全に終わったかのような空気が流れ始めている。でもさ、こうやって今、阪神大震災の映画を見ることによって、また気付かされることっていうこともあるんだよ。あの時サトエリが言ってたこと、森山未来が言ってたこと、この映画ともう一度ちゃんと向き合ってみることで、今後僕らがどうやって現実と向き合っていけばいいのか、考え直すきっかけになるんじゃないかな。



その街のこども 劇場版 [DVD]

その街のこども 劇場版 [DVD]