ようやく仕事が落ち着いたのでBLOG再開。


今年の頭頃からHipHopを多く聴いていて、Blogにもそのことをよく書いているんだけど、USのMixTapeシーンはいい加減もう飽和してしまった印象がある。どんなサイトも「スポンサーがウザイ」と思うようになったら、つまらなくなった証拠である。「スポンサーがウザイ」というのはひとつのきっかけに過ぎず、本質的なコンテンツがもうエキサイティングでなくなった頃に、ちょうどタイミングよくスポンサーが過度になってしまうのだ。僕の嗅覚が鈍いせいもあるが、興味をそそられるラッパーを見つけるのが困難になってきた。


ちなみに、僕が結構グッときたのが、Big K.R.I.TとGerald Walkerの二人。k.r.i.tについてはもうじきメジャーデビューも控えているので日本語の情報も多少はあるのだが、Gerald Walkerについてはあまり日本語では情報が出てこない。ということで今回はGerald Walkerについて。


日本語では情報がなくとも、英語のサイトを探してみると、既にwikipediaになってしまっているし、LastFMにもアーティストページがある。とりあえずLastFMのBioを読んでみると、「1987年生まれのアメリカ人ラッパー。彼の最もよく知られている作品は『Evening Out With Your Girlfriend』というデビュー時のMixtapeである。」なんて書かれている。


この『Evening Out With Your Girlfriend』がデビュー作品ながら、なかなかいいのよね。一曲目に余裕の貫禄さえをも感じさせる、落ち着いたラップで聴かせると、二曲目にはいい感じにぐいっと上げてくる。(一曲目で「おぉ!」と思わせて、二曲目でグイっとあげる展開は、いいアルバムの常套句である)その先は多くロックのネタを織り交ぜながらMixtapeは先へと進んでいく。取っ付きにくいゴツゴツしたHipHopの印象はこのMixtapeにはほとんどなく、オールジャンル、特にHipHop以外の人が聴いていて気持ちいいつくりになっている。


ほとんど無名、しかし才能のあるアーティストの作品が、容易に、そして、無料で聴けるような時代になった。しかしその分、ハイクオリティな作品が佃煮のようにありふれて存在しているので、(そして、つまらない作品も多く存在していることもあり)才能があったとしても世間に認知されるのが、もしかしたら、以前以上に困難な時代になってしまったのかもしれない。それもまぁ、いいんじゃないかな。何事も一期一会でしょ。YouTubeのGerald Walkerの動画にあったコメントがこれ。わかるぜ、その気持ち!


Thumbs up if You think Gerald Walker will change the Music game! well he is already but y'all know what i mean...Lol


ちなみに、wikipediaを見ると、「彼の最もよく知られた作品は『The Other Half of Letting Go』というMixtapeである」と書かれている。なんだよ、言ってることみんなちげーじゃねーかよ!!



http://www.2dopeboyz.com/2009/09/08/gerald-walker-evening-out-with-your-girlfriend-mixtape/

http://www.datpiff.com/mixtapes-search.php?criteria=gerald+walker

追悼、MCA。


今まで、Beastiesのライブを見る機会は2回あった。2005年のBig Day Outと、いつだったかのFRF。しかしどちらも、ちらっとしか見ていなかった。僕が行ったTibetan Freedomではライブはしなかったけどちょろっと喋るためにMCAは東京まで来ていたっけな。ということで白状すると、僕はガッツリとBeastiesにハマった訳ではない。つい最近もdatpiffにBeastiesのMixtapeが上がっていて聴いてみたのだが、やっぱりどうしても自分にはシックリこない。Rapがワンパターンで黒人っぽいリズム感があまり感じられないし、トラックもどうにもねぇ、あんまり馴染めないんだよなぁ。ワンパターンのRAPでもって一時代を築いたのは何故か、何故なのか。そんな禅問答する程のことでもない。NYの白人の悪ガキは、白人故だろう、ロックリスナーが聴けるRAPをつくってドーンとHITしたのだ。(だからこそ僕はしっくりこないんだろう)とはいえ、HipHopマナーはしっかりと押さえている。


YouTubeを見てても、体の動き方とか、なーんかぎこちない。。ぎこちないんだけど、それでもこれはかっこいいよなぁ。ワンパターンなんだけど、それでもRAPはしっかりしてるんだよなぁ。だから、しっくり来なくても、嫌いじゃないんです。遠くからそっと見守るような感じ、といって伝わるかわからないんだけど、とにかく結構ガックリきてるんです。一度延期になったアルバムがようやく出たばかりなのに、「なんだ、やっぱり元気なんじゃん」って言いたかったのに。死んじゃダメだよ。


韓国へ旅行に行くのを決めて、山か寺か、どちらかに行こうと考えていて、結局行ったのは山の中の寺。標高はだいたい500mくらいなものだが、やはり修行のような旅だった。一番の難関は、「現地語が読めない・喋られない」で地方の山奥まで行くこと自体かなぁ。


行き方は、まず全州のバスターミナルからナントカ(地名をもう忘れた)まで約1時間高速バスに乗る。その後、バスを乗り継ぐのだが、これがバスターミナルから出るようなバスではなく、完全にローカルなバスになる。その都度、目的地を事前にハングルで紙に書いてあるものを指差して内蔵寺に行きたいことを伝えるのだが、最後のローカルバスではバスの運転手に財布の中身をゴソゴソ物色され、しかしこれはひったくりではなくて、大きいお金を出されるのが嫌なので約130円の運賃を親切に取り出してくれたのだ。


はじめは適当に寺だけ見て帰るつもりだったが、インフォメーションセンターで日本語を話せる人がいて、(観光シーズンのピークは日本人の団体も来るのかもしれないが、この日は、日本人観光客は自分一人のみ。そもそもの観光客自体がかなり少ない。まだ寒さが残ってたからだろう)2時間くらいのブッシュウォーキングのコースを教えてもらったのでそれをダラダラと歩いてきた。


せっかく来たから行きはケーブルカーに乗って一気に上の方まで行ってしまい、すると遠目に目的地の内蔵寺が見えるのだが、山の中腹を切り開いて、本当にそこだけポツンと寺があるような光景なのだ。いちど朝鮮戦争時に全焼したものをもう一度再建しており、そんなに古い建物ではないが、それだけの苦労をかけてつくり直したのだ。その建物は、そこの人達にとってとても大切な、かけがえの無い存在でもある。それがどれだけ特別かは、その場所に辿り着くと自分にもそれとなく伝わってきた。そこの空気感や、そこで聴こえる自然音。苦労してここまで来たかいがあった。







韓国料理の定番もののひとつ、ビビンパ。このビビンパの発祥の地が、今回の旅行で訪れた全州(チョンジュ)。ビビンパを食べることが目的ではなかったが、ビビンパ発祥の地に行ってビビンパを食べなかったなんて言ったら、「お前は何のためにわざわざ全州までいったんだよ」という話になってしまう。まぁ、旅行してるんだから、ここまで来たからにはやはり本場のビビンパを食べなければいけない。


ガイドブックにも現地でもらった地図にも書いてあるのが、全州でビビンパといったら、兎にも角にも「家族会館」だと。「家族会館」というのは、要するに飲食店の名前なんだが、ネーミングセンスに関してはとりあえず気にしない。(結構こんな感じの名前の店が多い気がした、)そんなことよりも問題なのが、お店の看板は漢字で「家族会館」と書いている訳でなく、親切に英語で「Family House is Here!!」と書いてくれることもなく。全く意味不明のハングルの看板から「家族会館」を探さなければならない。


この家族会館を探して、探して、しかしなかなか見つからない。まず、日本の図書館で借りたガイドブックの地図と、現地でもらった地図で家族会館の場所が微妙に違う。両方を参照しながら歩いて、だいぶすぐ近くまできてるはずなんだけど、それらしい店がなかなか見つからない。結構飲食店多いし、どこも一緒に見えるし。しかし、ふと顔をあげると、あった。家族会館の看板を見つけた。一階は全く別の、サンダルとかを売ってる店になっていて、家族会館は二階にある。割と大きめの店内。僕の見た目はその辺のコリアンと変わらないのではじめは韓国語で話しかけられるんだけど、とまどっている僕の顔を見て、「ビビンパ? ハナ?」と声をかけてくれて、僕はうなずいた。


そして出てきた、本場のビビンパ。まず、ナムルが凄い数で出てきた。この日は昼がパンひとつだけで、確かにおなかすかせてたけど、これ、、食べきれるかなー。。そしてメインのビビンパは、口に入れると、何か特別な、ほっぺたが落ちるような味がする訳ではなく、むしろとても質素だ。これを食べているときにはじめて気がついたのだが、ビビンパには多数の具が乗っているが、肉は一切使っていない。それは無数のナムルも同様。沢山の野菜、豆、そして卵。それぞれのナムルはそれぞれの個性を持った味付けを持っているが、ビビンパについてはコチュジャンはベースになっているけれど余計な味付けはなく、素材そのものをそのままたしなむ。というような印象。


なによりも、やっぱりこの絵だよな。これが目の前に並ぶとやっぱり迫力あるよー。


5年振りの海外旅行(5日間)で韓国から帰って来たので、今日からしばらくは韓国情報ブログとなります。地方のラブホ街に泊まったりもしたんだけど、まずはソウルでたまたま入ったアートセンターのインスタレーションの紹介から。(これは期間限定だから)


ソウルで何もやることなくて適当に歩いているときに、なんとなく入ったアートセンター。入場料も3000ウォン(約300円)なので入るのも抵抗がなかった。ただ、それと同時に何かを期待している訳でもなかった。それがね、階段を上がって聞こえてきた音に本当にビックリしたのよ。


まず部屋に入って右手に映像が流れている。工業地帯の空き地と思われる場所で女性がいびつなステップで体を振り回している姿を、カメラは女性の周りを回りながら撮影している。その映像が女性に焦点をあわせたまま、スローモーションで流れる。仕切りで区切られたその向こうがサウンドインスタレーションになっている。音と映像は別々の空間のものであるのだが、その映像が流れている場所から聞こえてくるその音が完全に映像の世界観とリンクしている。しかし、映像周期(約23分)とサウンドの周期(約11分)は全く別なので同じ映像が約20分周期で流れていても、そのバックのサウンドは実は異なる音がかぶさっているのだ。(要するに再生するたびにバックの音楽が変わる)


で、映像のある場所からさらに奥に入っていくと、サウンドインスタレーションの空間となる。この場所からは、さっきの映像は全く見えない。壁一面にずらっと小さめのスピーカーが無数に、部屋を取り囲むように配置されている。もちろん、それぞれのスピーカーからは別々の音が出力されている。音楽作品ではなく、インスタレーションとしてのサウンド作品。最近の大友良英さんのインスタレーションと同じ流れを汲む作品で(大友さんの展示もちょうどソウルでやってたのね。行けなかった。。)、サイン波も使いつつ、さまざまな音がさまざまなスピーカーから流れる。どこからでも聞こえる音もあれば、そばに近づかないと聞こえない音もあり、やはりその空間のどの場所にいるかで全体の音像も違ったものになるのだろう。音像が混沌とした先に訪れる、空間を切断するような静寂。そしてまた音は静かに鳴り出す。音だけでも独立した作品であるし、さっきの映像を見ながらその音をきくと、世界観は通低しながらも、別の作品へと変わってしまう。


この"Abstract Walking" という展示は "Sora Kim project"と書かれているので、このキム・ソラさんという人が中心になっているのだろうが、この名前は今回はじめて聞く名前だ。その他、作品のコラボレーターの名前を見てもやはり韓国なので知らない名前ばかりなのだが、ひとつだけ知っている名前を見つけた。"Alfred Harth"。以前ONJOにも在籍していた即興演奏のSAX奏者だ(SAXだけじゃなくて、ほかの楽器もやるのかな)。SAXの音はなかったが、今回の作品にミュージシャンとしてクレジットされている。


全然、こういうものが目的で韓国にいった訳でなかったので、いきなり虚をつかれた気分でドキっとしてしまった。まさかこんな、自分の感性、しかも大衆性のない部分をいきなりピンポイントで突いてくるなんて、完全にやられてしまった。韓国のアートシーンも、日本に伝わってきていないだけで実は結構面白いのかもしれない。


詳細は以下のサイトでどうぞ。
(URLにパラメータが多過ぎてちゃんと飛んでいくか心配だな)
http://www.artinasia.com/institutionsDetail.php?catID=6&galleryID=548&view=7&eventID=14103
http://artsonje.org/eng/


写真は、なんとなく散歩中に撮った建物の隙間から見える有名なお寺。

今更ながら、DRAKEの"So Far Gone"を聴いている。CDになっているやつでなく、タダで落とせるヤツの方。もちろん、合法よ。"Take Care"にガッツリはまったことと、今MixTapeを聴きあさっている流れから聴いているのだけど、これがリリースされたのは2009年かな。ちょっと前にさかのぼるので、リアルタイムなMixTapeと単純な比較をするのはちょっと乱暴かもしれない。


とはいえ、全体を通して流れるトラックはパーツが削ぎ落とされたものばかりで、もっと突っ込んで言えば、スカスカで単調な曲がツラヅラと並んでいるのだ。それでもこのMixTapeは今聴いてもほかのHipHopとは区別されるべき特徴を持っており、それは今のDrakeの作品に直接的に繋がっているものでもある。なんつっても、スカスカとは言え、そもそもトラックがあまりHipHopではない。アンビエントなものが多く、軽めのハウスっぽいものがあったり、ほとんどロックな曲もある。(だから受け口が広いのかな。この人の場合)Rapのスキルはもちろんバッチリで、やっぱりアメリカ人とはアクセントのポイントが違う。また、この人の場合は歌とラップを行き来するのが大きな魅力になっている。そしてなんと言っても、Mixtapeシーンを代表する名曲"Best I Ever Had"でやられてしまう。


Radioheadに例えるならば、"Pablo Honey"、Oasisならば"Definitry Maybe"、その後の大きな名作に繋がる、Next Stepに向けた重要な作品であろう。え、例えが悪い? はい、ゴメンナサイ。。


So Far Goneはこちらからどうぞ。
http://www.datpiff.com/Drake-So-Far-Gone-mixtape.34130.html

3月11日は世界的に、
生きていることに感謝する日。

見たくない映像を見て落ち込んでしまったけど、
見なかったふりはできないし、
おもしろがって何度も見るものでもない。
まだ何も終わっていないし、
今だけあのときのことを振り返ったところで
またすぐに目を背けてしまう訳で、
後ろ向きに振り返るのではなく、
正面から向き合わないと。ね。


明日もまたがんばろーぜ。